心の中の詩
生きていると強くなってしまって、自分の感受性や葛藤や、大人ではない自分や傷ついている自分を表に見せないで生きてゆけてしまう。
しっかりしていることは歓迎されるし、感情をコントロールすることはどうやら大人の条件のようで、よりコントロール出来る人ほど素晴らしい人のように言われたりする。どうしたらそんなに強くなれるんですか、と聞かれたりして。
でもほんとうは、みんな心に詩があるんだと思う。
揺らぎそうな気持ちとか、泣きそうな想いとか、綺麗なものをみてキラキラしてしまう子どものような心とか、自分だけが知ってる世界の秘密とか。
みんな一生懸命大人になってきて、何かの役割を全うしていて、そんなものに触れてしまうと弱くなってしまうから、溢れてしまわないように、普段は心の奥にしまって蓋をしてる。
だからきっと、誰かのポエムに触れると、心の奥にあるものをうっかり思い出して、ひるんだりしてしまうから、まるで意味がないもののように無視したり、笑ってみたり、子どもだねって、やり過ごそうとするのかな、と思う。
歌を歌うのは恥ずかしい。人前になんか出たくないのに、なんだってこんな事してるのかと思うこともある。穴があったら入ってそのまま死んでしまいたいと思うことも多い。文章もそう。表現するって、何でも恥ずかしい。
でも歌を歌うと、私はにんげんで、生きているんだな、と思う。
きっと、自分がちゃんと自分の形でいるためには、揺らいでも自分の心の中の詩をときどき外に出してあげた方がいいんだと思う。
本当は、それが自分の形そのものだから。自分でも忘れてしまわないように。
心の詩を大切にする大人であること。よく生きるのは、矛盾するものを矛盾したまま大切にすることかもしれないな、と思う。
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